高次脳機能障害
「高次脳機能」とは動物にはない人間的な脳の働きのことをといい、交通事故のけがや病気によって高次脳機能に影響が及ぶことがあります。原因は頭部への強い外傷と脳血管障害が9割以上を占め、その要因は脳腫瘍やウイルス性脳炎、低酸素性脳症、アルコール中毒などです。交通事故や高所作業中の転落事故が引き金となるケースが多く、20代男性を中心に若年層に多いことがわかっています。
手足の骨折や皮膚外傷のような見た目にわかる身体障害ではなく、一見して何の変化も見られないため、本人、家族、友人、学校や会社の仲間たちに一切気づかれないこともあります。
高次脳機能障害の主な症状
記憶障害
新しいことを覚えられない前向性健忘症と、過去のことを思い出せない逆向性健忘症がある
注意障害
物事に集中して取り組めず、ちょっとしたことで気が散り、会話や思考がとぎれとぎれになったり言動に一貫性がなくなったりする
遂行機能障害
計画性をもった行動や環境変化への適応、複数の作業の同時進行などが困難になる。思いつきの行動が増えたり、約束の時間が守れなくなったりといったことも増える
社会的行動障害
急に怒る、怒鳴る、泣き出すといった極端な行動を起こしたり、無関心になったりする行動障害。飲食や喫煙をひたすら繰り返すといった症状もみられる